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脱はんこ社会となるか

query_builder 2020/10/11
ブログ
クレヨン法律事務所

河野太郎行政改革担当大臣が行政手続等における押印廃止を打ち出し、「日本の印章制度・文化を守る議員連盟(はんこ連盟)」と対立していることが報じられています。

また、コロナ禍でステイホーム、リモートワークが推奨された中でも、はんこを捺すために出勤しているというニュースもありました。

 

では、欧米ではサインが一般的なのに対して、何故そもそも日本では書類にはんこを捺すのが一般的なのでしょうか。

 

まず、書類(文書)とは、「文字又はこれに代わるべき符号を用い永続すべき状態においてある物体の上に記載した意思表示をいう。」とされています。こちらは、明治43年に大審院(今でいう最高裁)が定義付けしたものです。

 

要は、「人の意思が文字等で書かれた紙等」と解釈できます。

 

すると、他人が勝手に第三者の名前を語って契約書にサインされてしまうと、書かれた本人は困ってしまいます(このような行為は、私文書偽造等として犯罪ともされています)。

そして、その文書を信じて契約をした人も、いきなり本人が出てきて「そんなの知りません。」とされてしまっては、安心して契約ができなくなってしまいます。

この契約書を作ったのは本人か赤の他人かと揉めていくと、詰まるところは裁判で決着つけましょうとなってしまいます。

 

こういう紛争を持ち込まれた裁判所は、その文書が真正に成立した(本人の意思により作成された)といえるかどうかを判断しなくてはいけません。

 

そこで、法律は、判断方法として、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」(民事訴訟法第228条4項)と規定しました。

これにより、本人か代理人の「署名」又は「押印」がある場合には、その文書は本物だと推定されることになります。

 

すると、「署名」又は「押印」があればいいのだから、名前が書いてあれば十分じゃないかとも思えますが、本当に本人が書いたものなのかその文字の筆跡を調べて鑑定をしてとなると、時間もかかりますし、正確性も保てません。

なので、本人の押印、より正確性を保つなら、実印による押印があれば(法律上は実印でなくても良いのですが)、本人の意思に基づいていると推定しようとされています。実印を他人に預けたり貸したりされる方はいらっしゃいませんよね?

 

したがって、はんこ文化とは、1つには、私達1人1人の生活を守る手段なのだと考えられます。

ちなみに欧米では、サイン証明といった制度が用意されている国があります。

 

しかし、時代も変化をし、IT化が進む中、わざわざはんこを捺すために時間や労力を割かれてしまうのは企業としてもロスになりかねません。

そこで、現在は、電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)というものが制定され、電子署名でも一定の要件を満たせば真正に成立したものと推定されるようになりました。

 

今後、さらにIT化が進んでいくと、ブロックチェーン技術や様々なセキュリティツールが登場し、はんこが要らない社会になるかもしれません。

もしそうなった場合、現在はんこを作られている会社や職人の方々は、文化財か芸術品として、はんこを作るような社会になっているのかもしれません。

 

※引用した法律は本ブログ投稿時点のもの。

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